はじき銀舎の地味日記

地味な生活を送る、冴えない男の日記

「Pretender」への違和感

はじき銀舎です。

 

 

今回は2度目のOfficial髭男dismに関する記事です。

ちょこちょこ触れてはいるんですが、特化した記事は2つ目ですね。

 

 

前回の記事はこちら。もう2年前になります。

 

 

hajiki-ginsha.hatenablog.com

 

 

今回は多くの新規リスナーが増えたであろう代表曲、「Pretender」に焦点を当てる。

 

 

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2ndシングルの表題曲として発売されたのは昨年5月15日。

 

 

1年経った今、「Pretender」について書いていこうと思う。

 

 

本来であれば、昨年末の紅白歌合戦前に投稿しようかと考えていたのだが、間に合わなかったのでこのタイミングで改めて推敲した。

 

 

 

 

 

2019年を象徴する楽曲で言えば、King Gnu「白日」や菅田将暉まちがいさがし」と同様に、Official髭男dism「Pretender」はサブスクからのヒットといわれている。

 

 

その証拠として、ストリーミング再生数は今年に入って2億回を超えている。

このうちの少なくとも1,000回は僕だけど。

 

 

 

ここで一つ目の違和感を抱く。

 

 

 

先述の通り、「Pretender」は2019年の代表曲に挙げられるのだが、その割にあまり公の場でパフォーマンスされていない気がしてならないのだ。

 

 

様々な媒体でメンバーが発言していることだが、Official髭男dismは国民的バンドを目指しており、メディア出演には積極的だ。

 

 

特に昨年の「Pretender」ヒット後は多くのメディアでバンドを目にするようになった。それに比例して多忙中の多忙を極めたため、スケジュールの都合で断った仕事も少なくないであろう。

 

それを考慮しても、だ。

 

 

「Pretender」から2ヶ月後の昨年7月に発売された3rdシングル「宿命」の方が、より多くの場で披露されているように感じる。

 

 

もしかするとこれは真実でないかもしれないが、一ファンとしてTV出演やライブ披露の数を追うと、「Pretender」の方が明らかに少ないのだ。

 

 

こうしてみると、ヒット曲であることに首を傾げることはないが、どうしても何か物足りない感が否めない。

 

 

この違和感を払拭する答えは、

  • 髭男は"一人一人に寄り添える音楽を作り続けたい"と言っていることから、「Pretender」だけにこだわらない姿勢であること
  • 単にパフォーマンスを披露できる音楽番組が殆どない

 

といったところだろうか。

 

これがサブスクから流行する新たな形なのかもしれない。

 

 

 

そして、繋がるように二つ目の違和感が生じる。

 

 

 

「髭男の1番好きな楽曲は?」と聞かれたら僕は1曲に絞ることができないのだが、その回答候補の中に「Pretender」は入っている(執筆現在)。

 

 

これまで様々なアーティストの楽曲を耳にしてきたが、そのアーティストの代表曲や最も売れた曲はあまり刺さらないケースばかりであった。

 

 

B'zの1番好きな曲は「ultra soul」でもなければ「イチブトゼンブ」でもないし、SMAPのそれは「世界に一つだけの花」でもなければ「夜空ノムコウ」でもない。

 

 

これらは歌詞への共感性という訳ではなく、単純に好みのメロディーを含む楽曲が他にたくさんある、と言った方が適切かもしれない。

 

 

 

話を髭男に戻す。

 

 

"ファンが選ぶ髭男の好きな曲ランキング"なるアンケートがとある場所で行われていたのだが、その結果を見ると、トップ10に「Pretender」の文字は無かった。

 

もちろん、これは発売後に行われているものである。

 

 

熱烈なファンたるもの、こういったアンケートで有名曲を選択する行為は避けがちなのかもしれない。

 

その中には、"隠れた名曲を知ってほしい"とか"ファンならマイナーなこの曲を抑えておくべき"といった思惑が込められているであろう。

 

もちろん、「Pretender」を選んではいけないとは言ってないし、選んだとして一切否定はしない。僕だって選ぶかもしれないから。

 

 

そして、これまでの個人的法則に従うと、「髭男の1番好きな楽曲は?」の答えに「Pretender」は入ってこない訳だが、入るのだ。

 

 

 

何故だろうか。

 

 

「Pretender」に関してはメロディーの良さもあるが、歌詞への没入感が大きい。

 

 

そもそもこの曲がヒットした理由の一つに、現代の多くの方の恋愛観に突き刺さる部分があったからと考える。

 

 

そんな中、この楽曲を同性愛として読み解く記事があり、僕は大変共感した。

それまで歌詞の内容をあまり深く考えていなかったが、読了後にその没入感が急激に増したのだ。

 

 

Official髭男dismの大ヒット曲「Pretender」を同性愛から読み解く(阿部 幸大) | 現代ビジネス | 講談社(1/6)

 

 

 

一人一人が異なる解釈ができるのも歌詞、言葉の面白さだと思うが、個人的にとても共感できるのが2番Aメロ〜Bメロだ。

 

誰かが偉そうに

語る恋愛の論理

何ひとつとしてピンとこなくて

飛行機の窓から見下ろした

知らない街の夜景みたいだ

 

もっと違う設定で  もっと違う関係で

出会える世界線  選べたらよかった

いたって純な心で  叶った恋を抱きしめて

「好きだ」とか無責任に言えたらいいな

そう願っても虚しいのさ

 

 

そもそも、タイトルの「Pretender」は"ふりをする人"という意味だが、性的指向という面において人生の9割9分が"Pretender"であった。

 

 

自分に嘘をついて一人芝居を続けた。

他の誰のためでもなく、自分を守るために。

 

 

周りで繰り広げられたラブストーリーは自分の人生に何一つとして関わりのないものだと感じてきた。

まるで、友人に映画館に連れられ興味もない恋愛映画を眺めているただの観客のように。

 

 

あらゆる経験の乏しい僕がここまで共感できる歌詞も珍しい、と聴けば聴く程その想いは一層濃くなっている。

 

 

 

これを読んでくださっている方にはあまりいらっしゃらないと思うが、「Pretender」に触れたことのない方は是非一聴してほしい。

 

 


Official髭男dism - Pretender[Official Video]

 

 

 

 

 

と、色々書いてきたが、最後にこれだけは言っておきたい。

 

 

たったひとつ確かなことがあるとするのならば

「Pretenderは名曲だ」。